真土型鋳造法

真土型鋳造方法は、我が国において、工芸品、銅像などの製作に古来より伝統的に用いられてきた方法です。

 鋳型砂は[真土]と呼ばれ、川砂に粘土を混ぜ700℃~800℃で素焼きしたものを、砕いて使用箇所に応じふるい分け、粘結剤として粘土汁[埴汁]を混ぜて練って使用します。
  鋳肌になる部分には、ごく、細かな粒子の真土を用います。通気性や干割れを防止する目的で、和紙の繊維を混ぜているので、[紙土]と呼ばれます。鋳型の分割面(上下型の合わせ目)には滑らかさが必要なので、比較的細かな粒子を揃えた[玉土]、を使います。肌土をバックアップして鋳型に強度をを持たせるための[荒土]、には粗い粒子の真土を使い、藁の繊維を混入します。
  これら鋳型補強に混入された繊維質は、後の鋳型焼成工程において燃焼して空隙となり、鋳込まれた金属が凝固するときに放出するガスに対する、鋳型の通気性や、熔解金属の凝固収縮に対する柔軟性、鋳造後の崩壊性などの性能を生みます。
  このように、鋳型に要求される諸条件を満たすために、鋳型土には経験的に様々な工夫がこめられています。鋳型砂に[真土]を用いた造型法は、 [込め型法]、 [蝋型法]、[惣型法]、などに分類されています。

鋳型焼成

鋳型内に水分や有機物があると、注入する熔けた金属に反応してガスとなり、鋳物に欠陥を生じます。これを防ぐために鋳型の内部、鋳肌になる部分までが、700℃~800℃になるまで焼成します。鋳型や窯の大きさにもよりますが、この窯で約8時間かかりました。
  この鋳型焼成工程によって、肌砂(紙土)や荒土に混入された繊維質など有機物は燃焼して空隙となります。
  鋳型は多孔質となり金属が熔解時に大気から吸収し、凝固時に放出するガスが鋳型外に抜けやすくなります。