金属熔解・鋳造

■  熔解する金属(地金)
金属を熔かすことは鋳物を作る上でとても重要な工程です。
熔かす金属は目的によって銅合金(ブロンズ、真鍮等)やアルミ合金、鉄、ステンレス等を使用します。ここでは主にブロンズ(BC.6 銅85%、錫5%、亜鉛5%、鉛5%の合金)の熔解について説明します。

■  坩堝(るつぼ・金属を熔かすための器)
ブロンズが熔け始める温度は約1,000℃、鋳造温度は約1,080℃~1,200℃ですが、坩堝は3,800℃ぐらいまでは耐えられる黒鉛でできています。サイズ、形状はいろいろあり、目的に合わせて使用します。

■  熔解炉
金属を熔かすためには加熱できる炉が必要です。炉は、コークスを燃料とするコークス炉、LPガスや都市ガスを使用するガス炉、電気を基にする高周波炉等がありますがここではガス炉を使用して説明します。

■  熔解開始
坩堝を炉に入れ、ガスに点火し熱します。赤熱した坩堝の中に地金を入れます。地金が小豆色からオレンジ色、白色と変化し、さらに加熱し続けると熔け始めます。

■  垢(酸化物等の不純物)取り・脱酸
熔けた金属を湯といいます。湯全体をよく撹拌(かくはん)し、表面に浮いてきた不純物を取り除きます。鋳造温度まで昇温させてから湯の中に混入している酸化物を除去するため脱酸剤の燐銅を0,1%程度熔湯に加えます。

■  熔解完了
上記までの工程から次に湯面の垢を取り除き、湯に水素や酸素が溶け込まないように表面をワラ灰で覆います。これで熔解完了となり、湯が静まるのを待ちます。

■  鋳型の準備
熔解が完了する時間に合わせて湯を流し込む鋳型の準備をします。鋳型の中にゴミ等が入らないように注意し、湯を流し込む口(湯口といいます)を上に出して、他の部分はしっかりと土の中に埋めます。

■  鋳造(吹きといいます)
湯の温度と鋳型の温度が鋳造に最適であることを確認して、鋳型にすばやく湯を流し込みます。湯が途切れないように注意し、湯口にまで湯がたまるまで流し込んで終了となります。